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Enciklopedio de Esepranto 初版本

名古屋エスぺラントセンターでは、再版されて現在入手可能なものでも、歴史的に意義のある 著作は初版を集めるようにしています。

再版されるということは在庫がないが、歴史的に貴重な資料で、潜在的需要はあるためなので しょう。いったん写真版で再版されれば、もはやエスペランティストは初版を探し回らなくても、初版もどきは手に入れられることになります。だからでしょうか、かえってそういった歴史的に 重要な初版は探し回れば、入手可能であったとしても、その労力をかける人がないため、比較的安価で、古書販売されることもあるのです。

今回は、センタ—の蔵書の中から、Enciklopedio de Esperanto 初版本を紹介します。ウィーンでの世界大会で、この初版がかなりの高額で売り落とされたといいます。希少価値ということもありますが、初版でも写真付きのものは、現在の再版にはない資料的価値 もあるのです。

初版は,1933-34頃(一説にはl933-35)Sirjaev の編集主幹でLiteratura Mondo から二巻に分けて出ています。現在の版と違うのは、上に述ベたように、合計およそ760枚の写真が入れられている版があることです。写真は大半が著名人の写真ですが人物以外にも雑誌、 はがき、署名、風刺漫画、エスペラント速記、ザメンホフの生家等さまざまで、これだけでも貴重な資料の価値があります。もちろん日本人の写真もかなりの数が入っております。

1933年に Literatura Mondo が Asocio de Esperantistaj Libro-Amikoj(AELA) を設立し、美 しく、良質で、安価な本を提供しようという試みがなされ、初年度には6冊が出版され、その一つが Enciklopedio だったのです。

センター所蔵の Enciklopedio は、第一巻が茶色の表紙、第二巻が濃い茶の表紙で非常に保存 状態が良いのです。私がブダぺストの個人収集家ファイシーを訪ねた時安価に入手したものです。 Enciklopedio について一つの謎があります。それはその前書きの日付がなぜか、1944 年になっていることです。発行年は1933年になっているのに前書きが年代が後ということはありえないのです。おそらくはどちらかの年代があやまっているということになるのでしょうか?  これは今後の課題として詳しい調査が必要です。