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今回のテーマは、少し趣を変えて、エスペランティスト用の手帳を上げてみたい。 手帳といえばすぐ思い出すのが、雑誌Monatoが、購読者用に発行した手帳であるが、私は、この手帳を活用したことがない。あの手帳を真の意昧で活用できる人は、かなりエスぺラントを 使っている人であるのだろう。
今回、このシリーズで取り上げるエスペランティスト用の手帳というのは、ドイツのEsperanto-Verlag からでたEsperantista Poŝkalendaroがそうである。1908年版(発行は前年)から、すくなくとも1914年版まで6回はでている。 私の手元には初年版と1914年版が伝わっている。大きさはちょうど、文庫と新書の中間で、緑表紙のハードカバーで、なんと小口にはkrajoningoまで付いている。手帳にしてはやや ぜいたくな造りか、と現代人には映るが、エスぺランティストとしてのアイデンティティを高揚させるには、少なくともこの程度にはないといけないのかもしれない。
まずは初年度1908年版の中昧を紹介しよう。100ぺージ足らずの内、およそ半分の前半は、 左ペ—ジに週間ダイアリー、右ページがメモぺージとなっていて現代の市販の手帳と大差ない。ときどきダイアリーにはエスペラント関連の記念日が記されてあり、第一書出版はなぜか1887年 6月2日の箇所にあったりする。そしてメモページの数ページをはさんで、後半部には、さまざまな付録として、ラ・エスペーロ、国際語列挙、ブローニュ宣言、大会開催地ドレスデン紹介、通貨交換レート、エスペラント点字、日曜表、エスペラント関係の住所目録等である。この住所目録の日本の箇所には、JEA設立間もない日本の状況がかいま見られる。
有楽町のJEA以外に横浜、京都、三重、東京がのっている。京都のJEA支部は知恩院にあり、 ヤマモトとミムロとある。三重の支部はkonsulejoであり、マミヤと東京の支部でkonsulejoはアピコとされている。このkonsulejoは第2回ジュネーブでの世界大会 で提案されたもので、のちのdelegitaretoに発展するものである。
1914年版に目を移すと、中昧が大きく変っている。あれもあり、これもあり、といたれりつくせりになった分、初年版の単純さが失われている。
初年版では見開きで1週間だったのが、1ページで1ケ月と縮められページを節約した分、書込式住所録、メモページ月毎の書込式記念日表、 旅行記録簿、エスペラント金銭出納簿、エスペラント文庫記録簿といった具合である。便利かもしれないが、一般生活には無用である。純粋にエスぺラント手帳の色を深めている。煩雑になるが 1914年の後半付録部分も紹介しよう。アルファベット表、数詞表、接頭接尾辞表、カレンダー改定案、国際禁酒協会について(ドイツ語)、ツェッペリンとザメンホフ(同)、第10回大会開催地パリ紹介、第9回ドイツE大会開催地ライプチヒ紹介、エスペラン卜グループ運営跋(ドイツ語)、エスペラン卜ヘの翻訳法(同)、エスペラント略年表、世界大会略年表、ブローニュ宣言、 ラ・エスペーロ、運動関連語句解説、エスペラント小切手の手引、為替相場、エスペラント国際組織解説、独語圏のエスペラント関連住所、エスペラン卜雑誌、物々交換名簿、等。