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ザメンホフ祭2023の報告

山口 眞一

参加者自己紹介

それまでの暖冬がうそのように急激な寒さに見舞われた12月17日(日)、ザメンホフ祭が名古屋エスペラントセンター事務所で開催された。昨年の参加者が12人で、これはコロナの影響が大きかったと思われるが、今回は19人。ほぼ例年通りの人数を回復した。なおかつ、はじめての参加者が3人あったことは、常連参加者にとっての刺激になった。

はじめに全参加者が自己紹介をかねて、今年一年のできごとなどをかんたんに語った。エスペラントで流暢に話すベテランも、エスペラントを実際に学んだことがない大学の先生も、eterna komencanto(永遠の初心者)も、多彩な顔ぶれだった。

メインの講演は、ジョセフ・エサティエさん。名古屋工業大学の准教授で、演題は「齋藤秀一, ローマ字運動, エスペラント」。同じ趣旨の講演を、トリノにおける世界エスペラント大会で行なっている。エスペラントはまだ学び始めたばかりで日本語の方が話しやすい、とのことで、スライド付きで日本語での講演だった。エサティエさんは一貫して言語の民主化運動について研究し発信されている方。すなわち、読み書きをエリートだけでなくすべての人ができなくてはならない、そのためのローマ字運動があり、齋藤秀一は日本におけるその先駆者だったこと、中国でも同様の運動があったこと、エスペラント運動もローマ字運動と同様、その容易さによってコミュニケーションの障害を取り除こうとしたがために権力側から弾圧されたこと、などを語っていただいた。この点で、エスペラント運動には政治的な背景があることが示唆された。


エサティエさん講演

続いて、やはりエスペラントはまだ学び始めたばかり、という中川裕貴さんは、なぜ自分がエスペラントに興味をもったか、どのように実際に学んでいるのか、初参加となって日本エスペラント大会にどのようにすごしたか、について、スマホのメモを見ながらよどみなく語った(このメモは『センター通信』310号に掲載)。アドベンチャーゲーム「ことのはアムリラート」でエスペラントがパラレルワールドの言語として使われていることは有名になったが、「メタバース」と言われて首をかしげる参加者も。

最後は、名古屋エスペラントセンターのベテラン、伊藤俊彦さん。八ヶ岳エスペラント館の運営委員をされているため、写真を投影しながら同館の紹介、および周辺案内をしていただいた。別荘地として人気のある八ヶ岳南山麓に同館はあり、エスペラント関係のイベントや宿泊に使われている。建築家の故・森田茂介氏によって建てられ、その夫人から日本エスペラント協会に寄贈されたものである。ぜひ多くの人によって活用していただきたい、と。名古屋エスペラントセンターとして、以前に数回利用したことはあるものの、最近はその機会がなくなって久しいので、検討すべき課題である。

事務所では、販売図書を多く抱えているものの、残念ながらその多くが売れ残りデッドストックになっているため、これを機会として、言い値販売を始めた。これは「気に入った本をいくらでもいいので売ります」というもの(一部の辞書類を除く)。終了後、数人が奥の販売スペースに入り、売り上げは6100円となった。1冊100円で買っていく人が多かったようだ。

この後、場所を栄のお店(肉バルミート吉田)に移し、9人が懇談を続けた。


最後に記念撮影


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