本と批評

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Fabeloj el la Budhisma Literaturo

山田 義

1993 年渡辺愛子「仏典童話」(東本願寺発行)の エスペラント訳。 JBLE (日本仏教エスペランチスト連盟)の山口真一がエスペラントに訳しこの 9月に出たばかりの本だ。 Budhisma Biblioteko として発行された 2冊目。 A5 判の 68 ページ。

原作者の エスペラント版に寄せる前書きによると、この童話本はすでに英語版も出ているしアニメで TV 放送もされており朗読版を CD で聴くこともでき るようだ。この前書きで著者は平和とエスペラントに関心を示し、去年の9.11事件にも言及し、平和ということついてメッセージを大きな観点から語っている。このメッセージを読むだけでもこの本を持つ価値があるように思う。

10 の仏典童話がそれぞれ 5ページほどに収められており、一話ごとにカラーの扉と畠中光亨の素晴らしい挿絵が読む人の心を落ち着かせてくれる。子どもに宗教を説くためのお話しというより、読む人を、その何か不思議だが静粛の世界へと連れて行ってくれる。読んでいて心騒がすとか、話の結末を追ったり反論したくなるのではなく静けさを感じさせてくれる。この静けさは エスペラント訳によるのか原作がそうさせるのかはわからない。いつかはエスペラント版の朗読 CD も出したいと聞いている。読み終わったとき 、まえがきにある "Koni tiel kiel estas" ということばを噛んで味わった。

この本の装丁は、表紙は手触りのいい艶消しの化学紙を着せたハードカバーで、糸綴じで開きやすい上製本である。翻訳者の山口さんができたばかりのこの本を、「恵存」ということばを添えて私に贈ってくれた。私も、「恵贈」ということばを使って礼を書いたがこのようなことばを交わすにふさわしい本である。