通信より

2007年東海エスペラント大会の報告

黒柳吉隆

東海大会は、東海連盟が主催し、連盟会員以外にも呼びかけたり、連盟とは別の「準備会」が中心となって開催したりしてきたが、ここ数年、参加者が少なく、低調であった。そこで、大会を活性化するために、「準備会」方式で企画し、具体的な準備作業を豊田エス会に委託して、6月23、24日、東海市立勤労センターにて開催した。参加者は34名(うち不在参加者2名)と当初企画時の予想を上回る大会になった。大会記念品は「エスペラントでうたう世界の歌」第1集。Libroservoは名古屋エスペラントセンターとエスペラント教室が行い、横浜UKのTシャツも売れた。

大会の行事である分科会の1つに「東海エスペラント連盟総会」があり、初めに、この大会を待たず、5月12日に惜しくも亡くなられた東海連盟会長の豊田元樹さん(岐阜エス会)に感謝、ご報告、ご冥福を祈って黙祷を捧げた後、広く参加しやすい連盟を目指して、規約の全面改定などが行われた。事前に改定案が検討されていたので、原案通り可決された。

規約改定案の基はKLEGの規約で、この地方の実情に合うように内容を一部変更した。従来の規約からの大きな変更点は、会員の資格を "La Movado" の読者に限定していたのを当地方に活動の拠点を置く団体、個人で規約を尊重する者なら、だれでも会員になれるようにしたこと。また、「活動」の範囲も広く解釈し、学習会の集まりも団体として加わることができるようにした。

実際の主な活動は、毎年開催する「東海大会」の常置準備会的な役割と、各会・グループ単位では開催が難しいエスペラント中級セミナーの開催、一般市民向けに各会・グループが開催する入門講習会・展示会などの相互援助などであろう。

夕食後の代議員会を傍聴した未加盟の団体は、「しばらく連盟の活動を見てから」と加盟を保留するところが多かったが、新しい規約に基づく代議員会で、今年度(12月まで)の役員として、会長に黒柳吉隆(豊田エスペラント会)、副会長に杉山茂喜(個人)、会計に竹崎睦子(エスペラント教室)を選んだ。また、従来からの加盟団体も規約の団体基準(3名以上の会員)に満たない団体は、個人会員に切り替え、実質的に活動できる連盟にするよう話し合った。

名古屋エスペラントセンターでは、事前に委員会で改定案を検討し、「連盟の活動状況を見て、加盟するかどうかを次の総会で決める」と結論しているが、改定された連盟規約は、センターの活動と協働するに相応しい内容であり、会員数も活動内容も東海地方の中心的なエスペラント団体として、連盟規約が大きく改定された機会に積極的に加盟し、活動をリードする立場になることが期待されている。連盟とセンターが協働することによって、利用率が低い事務所の利用も、書籍の販売も拡大し、センターの経営基盤も安定するという1石3鳥の効果があると思われる。会員の皆さんが次の総会で、加盟の意思表示をされるのを待ちたい。

もう1つの分科会は、この地方では比較的に学習成果が上がっている学習グループ "Ĉambro Ĉarma" の公開学習会と、学習についての経験交流会である。交流会では、学習サークル "Rondo SONKISOJ" 、犬山学習会、三島エスペラント会、豊田エスペラント会、恵那学習会がそれぞれの様子を報告した。

午後からの開会式では、各団体(東海連盟、名古屋エスペラントセンター、名古屋・三重・四日市・豊田・掛川・三島・静岡の各エスペラント会、犬山・恵那・SONKISOJ・Ĉambro Ĉarma 各学習会、仏教エスペランチスト連盟、エスペラント教室、仏教書を読む会)の活動報告、個人では、磯部晃さんの中学校での授業と中部国際空港でのボランティア案内の報告があり、国際大会などへの参加報告では、アメリカ夏期講習会、オーストラリア夏期講習会、ウズベキスタンの小学校と日本の小学校との交流、エスペラントアジア大会、ヒマラヤの集い、フィンランドやエストニアへのエスペラント旅行、ヨーテボリ・北京・ヴィルニュス・フィレンツェの世界大会と続いた。海外旅行が高嶺の花でなくなった現在、エスペラントが意思疎通の道具であり、個人的な交流からグループの文化交流まで、いろいろなところで役立ってきていることをこの地方においても感じられる報告であった。

休憩後、「世界大会の楽しみ方」では、Akiraさんが、初心者として外国のエスペランチストと初めて話す楽しみ、プログラムに参加する楽しみ、そして横浜での世話する楽しみについて自らの体験を基に分かりやすく話した。また、それぞれ、横浜の世界大会前後にこの地方を訪れる外国人との交流企画についての情報を交換した。間もなく、いながらにして外国の人々と交流できることは、今まであまりエスペラントを使う経験が無かった人にとってはよい刺激になりそうである。

夕食後の懇親会は、盛り上がって、23時お開きの予定が24時になり、翌朝の朝食がまた、花盛りになった。

2日目の午前は「エスペラントで遊ぼう」(黒柳)、「初級会話」(石川)、「文法相談」(Akira)、「世界大会に向けての会話」(山田)と4つの学習会を並行して行った。

午後は遠足。あいにくの雨であったが、30分ほどのセントレア(中部国際空港)へ5台の車に分乗して14人が参加。ここで、エスペラントでの案内のボランティアをしている磯部晃さんの案内で空港内を見学した。ここでの用語は、すべてエスペラント。現場で空港の概要を理解したので、外国からのお客さんを出迎えても、もう困ることはないであろう。

今大会は、大会の再構築のため、講師陣も内部でまかない、一般公開番組は割愛したが、内容はいろいろ豊富で、当初の企画どおり、「楽しい」大会になった。来年の大会についてはまだ白紙だが、新しい規約の下で東海連盟が発展すれば参加者も増え、一般公開番組にも取り組めるであろう。そして、繰り返しになるが、名古屋エスペラントセンターに何が期待されているかを今一度、会員の皆さんがお考えいただければ、この報告者としては、大きな喜びである。(第56回東海エスペラント大会準備会)  

(センター通信 n-ro 253, 2007年7月30日)


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