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楽譜はコンピュータで入力すれば早くてきれいで正確であるはずだ。しかし、校正の段階で、1小節に収まる音符の長さと数が合っていないというチェックがあった。そんなおかしなことがあるのだろうか。よく調べると楽譜入力ソフトの入力準備の段階でその設定が間違っていたことが分かった。校正担当者の計算が正しかった。きれいで正確な楽譜を目指している。
5巻を目標に、小西岳さんの協力を得て、インターネット、パソコン、プリンタ、製本までを一つの机の上で作成している。100部ずつ刷っている。出来上がったものが物置にあふれることはない。製本技術にアドバイスをくれる人、表紙の写真を提供してくれる人、本としての体裁を教えてくれた人、調査のためにエスペラントの歌集を送ってくれる人もいる。それらはこの本の出版とは別にインターネットに写真で公開しつつある。
曲のリズムとエスペラントのアクセントが合った訳詞、曲の構成と押韻が整った訳詞は歌いやすい。アクセントとリズムの合致や韻を踏むことでエスペラントの訳詞は日本語より暗記しやすいことを感じる。日本のエスペラント史上この100年で訳されて発表された曲が約240曲が5巻に収まる。訳詞の多い人を挙げると、小坂狷二、松葉菊延、宮本正男、磯部晶策、小西岳となるが、小西訳が群を抜いている。その他の訳者としてセンターの会員も何人かある。詩が同じで作曲者を異にする曲があり、異なる訳者それぞれの曲のリズムに合わせた作品も収録されている。
全体のうちでたった一つのはずだが、訳詞に加えて替え歌を添えたものがある。エスペラントの学習者が苦笑いするだろう。
この歌集の目的は、歌の好きな人がギターを抱えて楽しく歌うというだけのためではない。たとえ歌うことや楽譜を読むことが苦手だったりする人でも訳詞を朗読して鑑賞できる。日本語の歌を今まで意味が分からず口ずさんでおり、だれにも聞けなかった詩の意味をエス訳を読むことで、少なくともその訳詞者の解釈をたよりに意味を知ることができる。日本語の歌のエスペラント訳を譜面に載せて行くと音符だけが余ってしまうことが往々にある、そんなときその歌の音符を埋めるために原作にない詩句で埋めなければならない。見事にそれを成し遂げている唱歌もある。何度も声を出して訳詞を歌っているとそのエスペラントの面白さに気づく。ときに、エスペラントは日本の歌を訳すために作られたかと思わせるような見事な訳を見つけて、ため息をつく。
これに続く企画として日本のエスペランティストが関わった外国曲の「エスペラントでうたう世界の歌」も3巻を準備している。そしてこの両方の歌集が資料としてこれからの100年に役立つよう、250曲+150曲を探し出すための総合索引も最終巻の巻末に載せるつもりでいる。楽譜とエスペラント、この校正にしばらくは没頭させられるだろう。
(センター通信 n-ro 248, 2006年7月30日)