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図書部担当からお薦めの本

「知っておきたいエスペラント動詞100」
日本エスペラント学会.1994.236p.1800円。文の中で中心になるのは動詞。そしてよく使われる動詞ほど用法の幅が広いものです。特に間違いやすいのがアスペクトや前置詞との結びつき、そんな動詞を徹底的に解説します。
阪直「エスペラント初級・中級の作文」
日本エスペラント学会.1984.127p.980円。機関誌 La Revuo Orienta の作文のコーナーを長年にわたって指導しておられる阪先生ならで はの、ポイントを押さえた解説は,上級者にもためになるでしょう。
Arkadij & Boris Strugackij: Malfacilas esti dio
Impeto. 1,200円。私はSFには詳しくないので知らなかったが、著者(兄弟)は、その方面では結構有名らしい。西ドイツでは映画化もされたらしい。訳文が少々晦渋で(rusismoというのだろうか?)、初めのうち慣れないと読みにくいが、読んでいるうちに内容の面白さにもひかれて、加速度がついてくる。荒唐無稽な感じでは、現代SFの主流からは程遠いが、主人公の内面の葛藤を描き出している点では、単なるスペースオペラを越えた作品だ。
Arkadij & Boris Strugackij: Pikniko ĉe vojrando
A.Ĵravljov訳.Impeto. 168p. 1500円。SFファンにはなじみのあるはずですが、一般には知られていないかも知れません。しかし、タルコフスキー監督の映画「ストーカー」といえば思い出していただけるかも。ハヤカワ文庫にある邦訳も「ストーカー」になっていますが、エスペラント訳では原題を守っています。なお 同じ著者による "Malfacilas esti dio" も面白いですよ。
Edmond Privat :Vivo de Zamenhof
The Esperanto Publishing Comp. 1,200円。数あるザメンホフ伝の中では、今日もっとも定評あるのはボールトンのものらしい。実証主義的という点では確かにそうだろう。それをさし措いて本書を選んだのは、プリヴァの文体が私の気に入っているからである。よく美文家と称されているようだが、どういうのが美文なのか私にはよく分からない。しかし、簡潔で読みやすいのは確かである。そして何といっても素直に感動させられる。初学者には特にお薦め。
伊東三郎「エスペラントとは何か」
RH出版会復刊. 540円。伊東三郎には、エスペラント界外にもファンがいるらしく、地方の文学サークル(?)から本書をまとめて注文されたことがある。プロエス運動の指導者、日本共産党農民部責任者という顔を持つわりには意外と、書かれている内容に観念的理想主義の感じがしなくもない。「語学は愛の学なのだ」とは、普通のエスペランチストからは決して出てこないせりふだろう。そこがまた著者の魅力でもある。「エスペラント界は民主的言語共同体社会である」とする著者の理想に対し、現実はどうか、と振り返ってみる時、忸怩たる思いを抱く。
Julio Baghy: Viktimoj, Sur sanga tero
Fenikso. 2200+2200円。私にはこの作品の文学的意義や歴史的背景について語ることはできない。(「センター通信」 154号にある伊藤俊彦氏の「バギーの小説の同時代史的背景」をご覧いただきたい。)私がこれを読んだのは17年前、それまで学習読み物の退屈さにうんざりしていたから、本物のエスペラント文学に出会ったという喜びは大きかった。かなり辞書を引いたように思うが、辞書を引く手間がもどかしくなるほど、先へ読み進むことに興奮していた。そして読み終えたとき、これでエスペラントはものにできたのではないか、という自信(うぬぼれ)ができた。そういう意味での、極私的な思い入れのある作品だ。
Istvan Nemere: Pigre pasas la nokto (Fenikso) Istvan
Fenikso. 2800円。ネメレの作品で初めて読んだのは、"Sur kampo granita" で、そのときは面白いとは思わず 「なんだこの程度か」で終わった。私の理解力(あるいは感性)が不足していたのかも しれない。しかしこの作品は、先に読み進むことに熱中、というよりも読み終わるのがもったいなく感じた。そして読み終えたときの切ない余韻。複数の場面を同時並行的に書き進め、読み手につながりを推理させながら、それを交叉させていく方法はどうやら著者の得意らしい。この手法を分かっていないと、初めて読む人には戸惑うかもしれない。